「「さっ寒っ!」」

北風はものすごい勢いで通過し、私たちの体温を攫って行った。


「なぁ。やっぱ帰ろうぜぇ。なんかもう体罰みたいな寒さ」
「うっさい!ラビはしゃべんな!しょうがないでしょ。コムイさんが
かぜひいちゃったんだもん。」




はぁなんでこんなことになったんんだか。


話の始まりは数時間前。
コムイさんが私に向かって変な薬を持ってきた。




「はいちゃんこれあげる☆」
「なんすかこれ。」
「ふふふ良くぞ聞いてくれました!これは僕が研究に研究を重ねて作った
背が伸びる薬【背が伸び〜る君】だよ。」


はあまりのネーミングセンスのなさに呆れた。
コムイさんは、親指を立ててものっそい笑顔でこっちを見てきた。
「・・・遠慮しときます。」
その薬に、悪寒を覚え、丁重に断った。
「ハハハ。遠慮しなくていいんだよ。安全性を確かめるために僕が
飲んであげるよ。」

ドサッ

「ハハハ。そんなことしても飲みませんよ^^ってうわ!!コムイさんが
倒れた!ちょっだれか−!」


そんなこんなでコムイさんは、高熱を出し、かぜをひき、その責任?で、
買出しに行かされている。ラビは、その場に居合わせただけでだが・・・
(一番かわいそうだろ)







「ごめんね?」
「べつにいいさ。」

気まずい空気。わたしにはとても絶えられない。

ラビに嫌われてないかすごく不安になる。


「この手袋使う?」
さっきまでつけていた手袋をはずしラビに差し出した。
私は気に入ってるが、手袋はファ−がついててどうみても女物だ。
しかも、淡いピンク色でとても男の人がつけるには無理があった。

「これ女物さ」

ごめんと小さく言って手袋を引っ込めるとラビの冷え切った手が私に触れた。
その手は、私の体温をじわじわと奪っていった。


「ちょっ。ラビ!」
「ぅお。あったけ〜。あんがとな。」


くそっくやしい。その笑顔は反則だよ。惚れた弱みってやつだろうか。
この顔を見るとなんでも許しちゃうんだ。


ラビは、つないでる手をそのまま自分のポケットの中に入れた。あいつは、
なんとも思ってないだろうが、私には恥ずかしくて自分でも分かるぐらいに
顔が赤くなる。


「わ〜かっわいい。顔真っ赤さ。」
「見んな!あとかわいくないっ!」
「だって本当だもん!」
「あんた18にもなって<だもん>って・・・ったくもう」

さーて行くか!急に張り切りだしたラビを見てため息をついた。
わたしがさっきまで心配してたのはなんだったんだろう。



手袋してる手よりも、あなたとつないでる手の方があたたかく感じるよ。



温もりは2で